育児支援から経営者サポートへ|キャリアコンサルタントの実践ストーリー
経営者と家族に寄り添う、ちょっと特別なサポート
#1 防災イベントでの出会いがすべての始まりでした
2024年の秋、私は「キッズシッター」の事業を立ち上げようと、日々情報収集と準備に追われ、悪戦苦闘の毎日を送っていました。
なぜ「キッズシッター」なのか・・・きっかけは、自分自身が子育てと仕事を両立する中で感じてきた、安心して子どもを預けられる場所の少なさを感じていたからです。それだけでなく当時、学習塾を運営する中で保護者の方々が送迎をするだけでもやっとで、宿題をやらせるまでは手が回らないと悲痛の声が聞こえてきたからです。私が子供のころは一人や子供たちだけで習い事に通うことができましたが、昨今は物騒な世の中になり、子供だけで通わせるのは不安なのです。本当に今子育てをしている世代は以前よりまして苦労が多いと感じています。
この話を始めると長くなるので、この件につきましては別途お伝えしていきます。
簡単に私のキャリアを紹介します。新入社員としてのスタートは、国際線の客室乗務員でして、16年間のフライト生活を送りました、その後、秘書、人事・採用と職種を変えながらも、一貫して「人と関わる」「誰かを支える」立場で働いてきました。
またこのキャリアの話になると長くなるので、キャリアについても別途お伝えするとして、本題に移ります
■ 防災イベントでの偶然の出会いでした
話を2024年の秋に戻します。
2024年11月開催された防災イベントに参加し、キャリアコンサルタントのボランティアとしてストレスチェックのサポートを行いました。
子育て支援の事業とは直接の関連はありませんでしたが、キャリア相談や人の気持ちに寄り添うという点では共通しており、キャリアコンサルタントとしての実践経験を積む機会になればという思いから、お手伝いさせていただきました。
その日、イベントブースの一角で来場者対応をしていたところ、一人の男性がふらりと立ち寄られました。ぱっと見た印象は、ストレスとは無縁そうで活力にあふれた方でした。しかしご本人は、「ストレスがたくさんあって、チェックするのがちょっと怖いな〜」と笑いながらおっしゃっていました。
最初は世間話のような軽いやりとりでしたが、次第にお仕事のことや、社員のメンタルケア、職場の雰囲気など、より深い話題へと広がっていきました。
ストレスチェックの結果は特に大きな問題はなかったので「ストレスとうまく付き合っていらっしゃいますね」とお伝えすると、その方は少し間をおいて、ぽつりとこうおっしゃいました。
「自分は大丈夫なんです。でも、小さい子どもが2人いて…妻が本当に大変そうで…」
その瞬間、私は思わず「実は、こんな事業を始めようとしているんです」と、キッズシッターの構想を話しました。
働く親を支える仕組みをつくりたい。特に、今の時代に必要なのは、家庭に寄り添う柔軟なサポートだと考えていること──
すると独立起業の経験のあるその方は、「それは素晴らしいですね。応援したい」と言ってくださったのです。
思いがけない一言に、むしろ私の方が背中を押された気がしました。
展示会のブースで交わした短い対話でしたが、それぞれが胸の内に秘めた挑戦心や未来への志が、ふと重なり合ったような、そんな印象深いひとときでした。
「どこで、どんな出会いがあるかはわからない」とはよく言われますが、実際に足を運び、本音で人と会話することで、想像以上の学びや気づきを得られることを実感しました。
■ 初めての仕事は、オンライン説明から始まりました
イベントの翌日。私はすぐにお礼のメールを送りました。
「昨日はありがとうございました。お話できてとても励みになりました。」
そして、自分が準備しているキッズシッター事業の概要を、資料にまとめて添付し、簡単なご案内も添えました。
まさか本当に返事がいただけるとは思っていなかったのですが、数時間後、その方からメールが届きました。
「日曜日に、妻にオンラインでお話しいただけませんか?」
驚きと喜びと不安が、一気に押し寄せてきました。
「えっ、本当に?」「どうしよう、何を話せばいい?」「自己紹介の資料、ちゃんと作らなきゃ…」
とにかく、やるしかない。そう腹をくくり、私はPowerPointを立ち上げて、自己紹介と事業説明のスライドを無我夢中で作り始めました。
■ 丁寧に耳を傾けてくれた奥様
翌日の日曜日、オンライン越しに初めてご挨拶した奥様は、明るく落ち着いた雰囲気の方でした。一見そう見えてはいましたが、見ず知らずの私に対し「どんな人が来るのだろう」という不安も、おありだったと思います。
しかし、会話を重ねるうちに少しずつ表情が和らぎ、徐々に距離が縮まっていくのを感じました。
私自身の子育て経験やこれまでのキャリア、この事業を始めた理由などを一方的に伝えるのではなく、先方のお子様の年齢や生活リズム、奥様が日々感じていらっしゃる負担なども伺いながら、お互いの想いをざっくばらんにやりとりする、和やかな時間となりました。
「なるほど、そういうサービスなんですね」と受け止めてくださり、
「一度、検討してみますね」と穏やかにお返しいただきました。
最後にそう言っていただけて、本当にホッとしました。
かなり緊張していたので、その言葉に触れたとき、少し先に光が見えたような気がしました。
■ この出会いが、すべての始まりだった
それから数日後、ご自宅を訪問させていただくことになりました。
奥様と可愛らしいお子様二人(年長と1歳)にも会わせていただき、具体的にどのようなサポートができるかを一緒に考えました。
このとき、ご主人がふと「実は、あなたのご経歴をお聞きして、会社のことも一度相談してみたいと思っていました」とおっしゃいました。
シッターの件とは別に、「もし可能であれば、月に1回でも会社に来ていただけませんか?」と、会社のほうでも何かご一緒できないかというご相談をいただいたのです。
当初考えていた方向性とは少し異なるご提案でしたが、「きっとお役に立てるはずです」と、間髪入れずにお返事しました。
──ここから「経営者の会社支援」という、もう一つの新しい扉が開いていくことになります。
ふとした出会いが、人生の大きな転機になることがあります。
そのときどきで、自分なりに勇気を出して一歩ずつ踏み出していった一連の行動に、「よくやったね」と伝えたい。
そして、そこから今もつながり続けているご縁のすべてに、心から感謝しています。

